Las caracol 2015秋冬号
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若い世代にも畳を畳職人の“今”小沢博紀さんは、近隣に住む方々を中心に畳の交換や表替えを行っている。ある日、畳屋にとって驚きの出来事が起こった。お客様の部屋の畳を二枚だけ替えたとき、新しくなった畳を見た20代の息子さんが「どうして畳の色を黄色にしなかったんだ!」と言ったという。小沢さんはその話を聞いてとても驚いた。その時初めて、今の若い人は畳本来の色を知らないことを知った。私たちが見慣れている畳は、時間が経ち黄色くなった状態であり、畳本来の色はみずみずしい緑色なのである。この仕事をしていて一番苦労していることは、畳の需要が時代とともに減ってきていること。若者の畳離れを食い止めるために、最近では建築関係のイベントに参加し、子供たちに畳に触れてもらうきっかけを作っている。その時には必ず畳のサンプルを持っていき、新しい畳の色は緑色だということを教えている。この仕事でやりがいを感じる瞬間は、仕事後、部屋が以前よりも見違えて綺麗になったときだ。そして、一番の喜びはお客様に「畳を替えてよかった!」と言っていただけることだと語る。近年では大型のチェーン店が多くなっているが、このような町に根付くお店も東京にずっと残っていてほしい。 (取材/写真と文 大須賀明子)三代目 小沢博紀小沢畳店住所 東京都杉並区和泉2-41-15TEL 03-3321-2351新宿駅からたった2駅の代田橋駅から歩いて15分。杉並区和泉で1939年から続く「小沢畳店」の三代目。高校卒業後すぐに父親の後を継ぎ、生まれ育った地元で畳屋さんを営む。趣味は旅行で、温泉へ行くことが日々の癒し。杉並区東京23区西新井の駅を降りて、人通りの多い住宅街を通り小道を入ったところに杉田とうふ屋はある。この日できたての豆腐を届けられるように、起床時間はみんながまだ寝静まっているであろう朝の4~5時から仕込みがスタートする。小さい頃から豆腐屋の仕事を手伝っていて、父の仕事振りを見て覚えていた。しかし、どうしても同じ味にならない。細かいメモなどはなく、無口な父がよく口に出して言っていた言葉、「丁寧に」。この言葉を繰り返し繰り返し杉田さんに伝えていた父の姿を思い出しながら、新しい作り方を試してみては失敗を重ねて、やっと今の味が完成。作り方自体は変わっていないが、毎日同じ行程を行っても、同じ味は出来ないと語る杉田さん。その違いは、大豆の組み合わせ、水の温度やつける時間によって、豆腐の味、固さに影響が出る。例えば、大豆を水につける時間は、夏は七時間、冬は二十四時間と変動が大きい。そのため四季に合わせて少しづつ調節している。このやり方にたどり着くまでも試行錯誤を繰り返して、やっと納得のいく味が出せたと語る。昭和八年創業以来、今もなお豆腐の奥深さ、繊細さに気づかされる。(取材/写真と文 齋藤安寿美)3代目店主 杉田精一杉田とうふ屋住所 東京都 足立区関原3-28-10TEL 03-3887-2948杉田とうふ屋の 3代目で現在63歳。奥さんの邦子さんとともにお店を営んでいる。足立区豆腐組合の青年部長を務めていて足立区の豆腐業界に精通している。趣味は釣り。時間があるときは、仲間とともに茨城の霞ヶ浦まで車を走らせ、釣りに行く。足立区東京23区受け継がれたものそしてこれから豆腐屋の朝は早い
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