Las caracol 2015秋冬号
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緑と赤を基調とした異国感漂う外観で、店頭に「チロリアンテープ 総発売元」と書かれた、日本唯一のチロリアンテープ専門店「メゾン・ド・ロア」。チロリアンテープとは、チロル地方の民族服風の刺しゅうが施された飾り用テープのこと。空、花、牛、農民達等のモチーフが雰囲気のある木綿に可愛らしく織り込まれている。かつてチロリアンテープが流行した時代に愛用していたご年配の方や、その娘さん世代のお客さんが多く、チロリアンテープのファンも居るほどで、リピーターが多い印象。ヨーロッパの旅でチロリアンテープと出会ったオーナーが直接フランス、オーストリア、ドイツ等で買い付けたものを使い、専属の職人達が作ったバッグ、ポーチはどれも一点物でお店自慢の商品である。チロリアンテープはヨーロッパの伝統産業であるにも関わらず、近年専門メーカーの廃業、閉鎖が後を絶たず、今では定番の土産物屋からしか仕入れられなくなっている。ここでは四十年前から輸入していたものが取り扱いされているため、ここでしか手に入らない貴重なものもある。チロリアンテープの他に、フランスリボン、タッセル、ブレード、ポンポンも取り扱っている。  ( 取材/写真と文 橋口彩楓 )メゾン・ド・ロア東京都港区麻布十番1-5-3TEL 03-3401-2651六本木ヒルズの近くに位置し、40年以上続く日本唯一のチロリアンテープ専門店。チロリアンテープの他にフランスリボン、ブレード、タッセル、ポンポン等も取り扱っている。麻布十番でみつけたチロル地方メゾン・ ド・ロア東京23区港区思い出を一枚にする歴史深い商店街に残るフォトスタジオ    始まりは戦後間もない1948年。1940年に東京で生まれた鈴木輝彦さんは、両親が開いたこのフォトスタジオで小学生の頃から暗室に入り手伝いをして来た。学生時代の思い出も全てこの戸越銀座にある。その当時の夢は宮大工か農家で、元々物作りが好きではあったが、特に写真を撮る事が好きというわけでは無かった。両親の後を継がされた訳でもなく、ただなんとなく始めたこの仕事も今年で55年目。「上手に撮る事はカメラマンなら誰でもできる。自分にしかできない内容のある写真を撮りたい」。鈴木さんは撮影時に、どうやったら相手の一番良い表情が撮れるかを考える。例えば家族写真であれば、写真から愛情が感じられるもの。そのためお客さんとの距離感は近い方が良い。鈴木さんはお店の外で常連さんを見かけると、自分から話しかけて撮らせてもらう。このコミュニケーションによってお客さんとの距離感が縮まっていく。お店を入ってすぐにあるカメラのコレクションも全て常連さんからの貰い物。その全てがフイルムカメラで、中には二眼レフカメラや戦前のカメラもある。気が付けば50台も集まっていた。このお店の67年間の歴史と、受け継がれた人脈が感じられる。 (取材/写真と文 中田萌奈)鈴木輝彦フォトスタジオ三省堂住所 東京都品川区平塚1-5-8TEL 0120-13-1276東急池上線の戸越銀座駅から歩いて20mほど。白い看板が目印。一階は受付、二階はフォトスタジオがある。フイルムカメラも設備してあるが、実際に撮影時に使用しているカメラはデジタルカメラ。現在は、息子と二人で経営している。品川区東京23区

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